局所麻酔の痛み
歯を抜く時や指を縫う時に、「麻酔をします」と言われ、注射をした経験があると思います。
注射を打つ麻酔は、局所麻酔と呼ばれる方法ですが、なぜ痛みを感じないのかなど疑問が多いと思うので、今回は解説していきたいと思います。
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目次
局所麻酔と全身麻酔の違い
最初に持つ疑問は、局所麻酔と全身麻酔の違いだと思います。
局所麻酔は、限定された部分に対してだけ麻酔をかけますので、意識はあります。
全身麻酔は、体全体が麻酔にかかった状態になりますので、意識が無くなります。
体への負担は、部分的である局所麻酔の方が低いです。
そして全身麻酔の場合は、意識が無くなるので、手術中の体の管理が必要になります。
局所麻酔と全身麻酔の選択は、手術の部位、かかる時間、健康状態などを考慮し決まります。
局所麻酔の作用
次に、局所麻酔でなぜ痛みを感じなくなるのかを説明します。
体には、痛みを脳に伝える神経がたくさん通っていて、部位によってどの神経が痛みを伝えるのかが、決まっています。
なので、痛みを遮断したい部位に関係する神経細胞の中へ麻酔薬を作用させると、痛みが脳に伝わらなくなります。
これが、局所麻酔が効いている状態です。
局所麻酔薬の種類
では、局所麻酔薬にはどのような種類があるのでしょうか?
大きく分類すると、表面麻酔・浸潤麻酔・伝達麻酔・脊髄麻酔・硬膜外麻酔の5つに分かれます。
表面麻酔
表面麻酔は、皮膚や粘膜に麻酔薬を塗りこみ表面の痛みを感じさせないようにします。
傷の痛みを押さえたい時などに、使われることもあります。
浸潤麻酔
浸潤麻酔は、皮内や皮下に注射をし、限定された部位の痛みを感じさせないものです。
歯科治療で使われるのは、主にこの浸潤麻酔です。
伝達麻酔
伝達麻酔は、浸潤麻酔よりもう少し広範囲に麻酔をかけたい時に使います。
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浸潤麻酔で作用させる神経よりも、もう少し広範囲の痛みに関係する神経に作用させます。
脊髄麻酔
くも膜下腔と呼ばれる場所に麻酔を打つことで、下半身の痛みを感じさせないようにします。
盲腸の手術などには、この脊髄麻酔が使われます。
硬膜外麻酔
骨膜外腔と呼ばれる場所に麻酔を打つことで、脊椎神経を麻痺させることが可能になり、顔や頭以外の手術には使うことが出来ます。
これが硬膜外麻酔です。
また最近では、手術後の痛みを和らげるために使用されることもあります。
局所麻酔の痛みの原因
注射針
局所麻酔をする時、最初に痛いと感じるのは、針を刺す時ではないでしょうか。
注射の針は、細い針ほど痛みが小さいと言われています。
歯科治療の浸潤麻酔に使われる注射針と脊髄麻酔で使われる注射針は、太さが違います。
より痛みの大きい脊髄麻酔では、注射針を刺す前に表面麻酔を塗ってくれる病院もあります。
薬の入れ方
次に痛みを感じるのは、局所麻酔薬が体の中に入っていく時です。
局所麻酔薬が早く入りすぎると、痛みを感じる事が多いようです。
なので、痛みを和らげようと考えてくれる歯科医院などでは、局所麻酔薬が一定の速さで入るように、電動の注射器を使用しているところもあります。
薬の温度
局所麻酔薬が体温より冷たい温度だと、温度の差から痛いと思うことがあります。
そこで、体温に近い温度に温めた局所麻酔薬を使用してくれる病院もあります。
また局所麻酔薬を温めて使用すると、早く麻酔効果が現れることが最近の研究で明らかになっています。
恐怖心
局所麻酔の注射は、針が体に刺さるので確かに痛みを伴いますが、恐怖心で痛みをより強く感じる場合があります。
極度に緊張してしまうと、血圧が上がってショックを起こしてしまうことがありますので、事前に担当医師に相談しておくことをおすすめします。
まとめ
局所麻酔の痛みを和らげる方法は、患者さんが実践できるものは少ないですが、痛みを抑える工夫していると紹介している病院もあるので、探してみてはいかがでしょうか。
局所麻酔は注射をするので、痛みは避けられませんが、注射の後に行う治療や処置の痛みを和らげてくれるものなので、少しの我慢は必要かも知れませんね。
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